犬の目元用トリミングバサミは、眼球表面への誤接触を防ぐため、先端が丸くなっている「ブントチップ」や「セーフティチップ」と呼ばれるタイプを使用する必要があります。4〜5インチの先端が丸いストレートバサミは目元周りの毛や目頭の処理に、先端が丸いカーブバサミは眉のアーチを整えるのに適しており、仕上げにはスキバサミでぼかしを入れます。カット中は常にハサミの先端が目から離れる方向を向くようにしてください。
本ガイドでは、ハサミの選び方、犬種ごとの刃の形状とサイズが安全性に与える影響、そしてプロのトリマーが行う目元ケアの段階的なテクニックについて解説します。

何よりも優先されるべき安全ルール
プロのトリマーは、ハサミを目元に近づける前に3つの条件を確認します。これらは単なる推奨事項ではなく、プロの基準であり、ご自宅でのグルーミングにも同様に適用されます。
プロからの安全上の注意:目の疾患がある状態で目元のカットを行うと、異物が眼球表面に押し込まれ、獣医師による適切な診断や治療が遅れる可能性があります。以下のような症状がある場合は、カットを行う前に必ず獣医の診察を受けてください。
ハサミを目元に近づける前に、以下の3つの条件を必ず確認してください:
- 犬が落ち着いており、作業中に頭を動かさないこと。頭を一度振るだけで、一瞬のうちに目がハサミの先端に向かって移動してしまいます。犬がじっとしていられない場合は、一度作業を中断してください。
- 適切なハサミを使用していること。家庭用のハサミや、刃先が尖った長い体用ハサミは、どれほど注意しても不適切です。犬の目元用バサミ(ブントチップまたはセーフティチップバサミ)は、先端が丸くなっており、万が一接触しても刺さるリスクを排除しています。
- ご自宅でのカットが不適切な疾患がないこと。眼瞼内反症(まぶたが内側に巻き込む)、チェリーアイ(目頭の赤い腫れ)、または目やに、充血、白濁などの症状がある場合は、目元のケアを行う前に必ず獣医の診察を受けてください。
3種類の目元用トリミングバサミとその役割
プロのグルーミングでは、目元専用の3種類のハサミを使い分けます。それぞれの作業に適したハサミを使うことが、仕上がりの美しさと安全性を左右し、不自然なカットや事故を防ぐ鍵となります。すべてのグルーミング作業におけるハサミの種類については、EliteTrimブログの「犬用トリミングバサミの種類」をご覧ください。
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ハサミの種類 |
先端の形状 |
刃の長さ |
主な目元作業 |
適した部位 |
スキルレベル |
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ブントチップ・ストレート(安全刃) |
丸型/平丸型 |
4-5インチ |
目の上の前髪のカット、長すぎる毛のトリミング、目頭の作業 |
前髪・目頭(内眼角) |
初心者向け |
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ブントチップ・カーブ(安全カーブ) |
丸型/ボール型 |
4-5インチ |
眉のアーチに沿ったカット、眼窩周囲の曲線の整形、トイ種や小型犬の丸みを帯びたシルエット作り |
眉アーチ・目の上部 |
中級者向け |
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スキバサミ(細刃) |
標準的な鋭利な先端:技術で距離を制御 |
5-6インチ |
ストレートやカーブ後のラインのぼかし、カット跡の除去、毛量の調整 |
目元全域のぼかし |
全レベル |
ブントチップのストレートバサミは、目の表面から最も離れた毛を扱うため、自宅でのグルーミングにおいて最も安全な出発点となります。カーブバサミは眉アーチ近くに使用するため、より正確な操作と自信が必要となります。顔周りのカーブバサミの技術については、EliteTrimブログの「犬用カーブバサミの使い方:専門ガイド」をご覧ください。EliteTrimの「犬用トリミングバサミ」コレクションには、目元作業に推奨される4〜5インチの安全なハサミが取り揃えられています。

犬種別:目元トリミングガイド
目元のカット方法は、ハサミの種類と同じくらい犬種によって異なります。シーズーの視界を遮るストレートな前髪と、ビションの丸く巻いた眉アーチでは対応が全く異なります。犬種によっては、自宅でどのような道具を持っていても、プロのトリマーに依頼すべきケースがあります。
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犬種 |
目元の被毛の悩み |
推奨バサミ |
テクニックの注意点 |
頻度とリスク |
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シーズー |
長いストレート毛が視界を遮る、眼球への接触、涙やけ |
ブントチップ・ストレート+スキバサミ |
先にストレートバサミで顔と平行に毛を整え、スキバサミでぼかす。先端は常に45度外側へ向け、決して目に向けないこと。 |
非常に高い:2〜4週間毎 |
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ビション・フリーゼ |
目の周りのカールした毛、丸い眉プロフィールの整形 |
ブントチップ・カーブ |
眉のアーチに沿ってカット。外側から内側へ向かう。目頭側は目とカットラインの間に少し隙間を作る。 |
高い:3〜5週間毎 |
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ヨークシャー・テリア |
頭頂部からの細い直毛が目にかかる |
ブントチップ・ストレート |
細い毛はハサミで滑りやすいため、少しずつカットすること。コームの上からカットする技法が有効。 |
高い:3〜4週間毎 |
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マルチーズ |
白く細い直毛、涙やけのリスク、目頭の衛生管理 |
ブントチップ・ストレート |
涙やけを抑えるため、目頭の処理を最優先。顔と平行に保ち、先端は外側へ。目やにがある時はカットしないこと。 |
高い:健康維持のため不可欠 |
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プードル(トイ・ミニチュア) |
目の周りの密な巻き毛、前方に垂れるトップノット |
ブントチップ・カーブ+スキバサミ |
アーチ形成にカーブバサミ、ぼかしにスキバサミを使用。コームを使ったカットが長さの均一化に効果的。 |
中程度:4〜6週間毎 |
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コッカプー・ドゥードル系 |
個体差があるカール〜ウェーブ毛 |
ブントチップ・カーブ |
眉アーチを整形。スキバサミで仕上げると自然。 |
中程度:3〜6週間毎 |
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パグ・短頭種 |
突出した目、極めて高い接触リスク |
プロ専用:自宅カット禁止 |
目の突出により、どのハサミを使っても刺さるリスクがある。必ずプロに依頼すること。 |
極めて危険:自宅でのカットは厳禁 |
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ラブラドール・レトリバー系 |
短〜中毛、目の周りの毛は少なめ |
必要に応じてスキバサミ |
ほとんど作業は不要。眉の上のわずかなはみ出しのみ。 |
低い:8〜12週間毎 |
表から明らかなように、パグ、フレンチブルドッグ、ペキニーズなどの短頭種は、自宅でのカットを避けるべき例外です。これらの犬種は目の構造上、安全バサミを使っても重大なリスクが伴います。他の犬種については、前述の安全条件を守り、犬が協力的な場合に限りカット可能です。

目元カットのための犬の保定
誤接触は、ハサミの選び方よりも不適切な保定が原因で多く起こります。頭や体が安定していないと、わずかな動きで目にハサミが向いてしまいます。
頭の支え方と体勢
犬を滑りにくい台の上に乗せ、目元がトリマーの目線の高さに来るようにしてください。上から見下ろすと刃の角度が不自然になり、先端が目から離れているか確認しづらくなります。
ハサミを持っていない方の手で、親指を顎の下、他の指を頬に添えて優しく支えます。犬が嫌がって動かないようにしつつ、力まないことが大切です。頭の固定方法については、EliteTrimブログの「グルーミング中に犬の頭をじっとさせる方法」をご覧ください。
不安な犬や頭を振る犬の対応
作業中に頭を振ったり逃げようとする場合は、無理に続けないでください。犬が動いている最中にハサミを動かすことが事故の原因です。協力が得られない場合は、問題に立ち向かうのではなく、作業を中断するのが正解です。
一人が保定と褒め励ましを行い、もう一人がカットをする「二人体制」は、敏感な部位の作業において非常に有効です。詳細はEliteTrimブログの「犬のグルーミングにおける保定技術」をご覧ください。
目元カットのステップ・バイ・ステップ
技術は「長い毛を先に切る」「アーチを作る」「ぼかす」の3段階で行います。先に形を整えようとすると不揃いになり、目元にハサミを近づける時間が増えてしまいます。

ステップ1:カット前にブラッシングと確認
ハサミを使う前に、目元の毛を皮膚から離すようにブラッシングとコーミングを十分に行います。どの毛が問題を招いているか(視界を遮っているか、眼球に触れているか、目頭の汚れか)を特定します。コーミングで前髪を平らにすると、目と毛の位置関係が正確に把握できます。
ステップ2:ブントチップのストレートバサミで目頭と前髪を処理
先細の安全バサミを犬の顔に対して平行に持ち、刃先が目から約45度外側を向くようにします。一度に長く切ろうとせず、2〜3本ずつ細かくカットするようにしましょう。こまめに切ることで切りすぎを防ぎ、小さな動作の合間に仕上がりを確認することができます。専門的なグルーミングでは「内眼角」と呼ばれる目頭部分は、毛や汚れ、涙やけの原因となる目ヤニが溜まりやすい場所です。この部分を清潔に保つことは、美容だけでなく健康維持の観点からも非常に重要です。
プードルやコッカプーなど、顔の毛が濃く密な犬種の額周りには「コーム・オーバー・シザー(コーム越しにカットする)」技術を適用します。目の細かいコームを皮膚に対して平らに当て、コームの歯からはみ出た毛だけをカットします。コームがハサミの刃と皮膚の物理的なバリアとなり、一定の長さに切り揃えられるだけでなく、ハサミの予期せぬ動きが皮膚に直接触れるのを防ぎます。この手法は目の周辺のトリミングにおけるプロの標準であり、コームを使わずにフリーハンドでカットするよりもはるかに安全です。
ステップ3:カーブバサミで眉のアーチを形作り、すきバサミでぼかす
先細のカーブバサミに持ち替え、目の上の眉のアーチを整えます。カーブした刃は眼窩(がんか)上の頭蓋骨の曲線に沿うため、ストレートバサミでは難しい「刃先を常に目から外に向ける」という動作が自然に可能になります。目尻から中央に向かって少しずつ動かし、2〜3回カットするごとに少し離れて全体を確認し、ラインの左右差をチェックしてください。
最後に、形を整えたエリアをすきバサミで軽く整えます。すきバサミはラインをパツンと切り揃えることなく毛量を減らせるため、他の2種類のハサミのような安全な刃先形状でなくても、目の周りの仕上げに適した安全な道具といえます。
犬用グルーミングバサミが適さないケース
いつ作業を止めるべきかを知ることは、技術を知ることと同じくらい重要です。どんなに高品質なハサミを使っていても、自宅でのグルーミングが適さない状況があります。
以下のような場合は、作業を中止してプロのトリマーに予約を入れてください。
- 犬が体勢を立て直したり休憩をとらせても、じっとしていられない場合。
- 目の周りの毛が激しくもつれており、まぶたを引っ張っている場合。
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ハサミが近づく前から、目の周りを触ったりブラッシングしたりするだけで犬が痛みを示す場合。
目ヤニ、赤み、白濁、腫れなどの症状がある場合、またはまぶたが内側に巻き込まれている(眼瞼内反症)、目頭に赤い塊が見える(チェリーアイ)場合は、グルーミングを試みる前に獣医師の診察を受けてください。目に異常がある状態でハサミを使うと、汚れを角膜に押し込んでしまう危険性があり、問題解決のための適切な診断を遅らせる原因となります。

犬用グルーミングバサミに関するよくある質問
犬の目元用ハサミの「先細(blunt-tip)」と「ボールチップ(ball-tip)」の違いは何ですか?
どちらも刃先が丸く加工された安全な形状を指します。ボールチップは先端が球状になっており、先細は平らで丸みを帯びた形状です。どちらも誤って目に触れた際の刺傷を防ぐため、目の周りのグルーミングに適しています。ただし短頭種の場合は、刃先の形状にかかわらずプロのトリマーに依頼することを強く推奨します。
犬の目の近くで普通のグルーミングバサミを使ってもいいですか?
一般的な鋭利なハサミは目の周りの作業には向きません。予期せぬ頭の動きによって、尖った刃先が目に接触する可能性があるからです。ブルノーズ(先端が丸い)バサミや安全バサミは先端が丸くなっているため、万が一接触しても目に刺さることはなく、作業のリスクを大きく変えることができます。
目の周りのトリミングには何インチのハサミが最適ですか?
犬の目の周りという狭いスペースでは、4〜5インチのハサミが最もコントロールしやすいです。刃が長すぎると細かな操作が難しくなり、常に目の近くにある金属の面積も増えてしまいます。6インチ以上のハサミは目の周りのトリミングには適していません。
どのくらいの頻度で目の周りの毛をカットすべきですか?
毛が目に触れる、視界を遮る、目頭に目ヤニが溜まる場合はカットが必要です。シーズーやマルチーズのような犬種は、トリミングの予約と予約の間の2〜4週間ごとに手入れが必要な場合があります。ラブラドールなどの短毛種は、ほとんど手入れが必要ないことが一般的です。
犬用の目の周り用ハサミは、道具のデザインによって「使いやすさ」だけでなく「何が可能か」が変わる製品です。ブルノーズや安全バサミの丸い刃先は、予期せぬ動きによるリスクを、深刻な怪我ではなく回避可能なレベルに抑えてくれます。適切なハサミを選び、犬種に合わせたアプローチと3ステップの基本手順を守ることで、目の周りのグルーミングは自宅での安全で再現性の高いルーチンとなります。





